乾癬(かんせん)・関節症性乾癬
乾癬(かんせん)・関節症性乾癬の症状
- 乾癬は頭、肘、すねなどに出来やすく、ひどくなると全身に広がる病気です。
- かさかさした白い大きなふけがついた赤いブツブツが出る病気です。
- 「かんせん」という名前が付いていますが、他人にうつる病気ではありません。
- 関節が痛くなることもあります。
乾癬・関節症性乾癬の治療法
赤い部分の面積が手のひら10個分より少ない場合
ステロイド軟膏とビタミンD3軟膏を塗って頂きます。どちらか一方だけを使用するよりも、例えば朝にビタミンD3をぬり、夜にステロイドを塗る方が効果的です。忙しくて、1日1回しか塗ることが出来ない方には、あらかじめ2つの薬を混ぜたものを使って頂きます。
このぬり薬の治療でよくならない場合は、紫外線治療をお勧めします。ぬり薬をつけてから紫外線(A波)を当てるプバ療法や紫外線(B波)の中で最も効果のある波長のみを当てるナローバンドUVB療法を行います。一度に全身の皮膚に照射することも可能ですし、例えば治りの悪いすねの部分だけに当てることも可能です。
赤い部分の面積が手のひら10個分より多い場合
患者さんの年齢、症状、都合などを考慮し、以下の3つの方法から選択して頂いています。
- 紫外線治療をより頻回に行う。
- 紫外線治療に加え、ビタミンA誘導体を飲んで頂く。
- シクロスポリン(免疫抑制剤)の内服を行う。
いずれもぬり薬を定期的に併用することで、皮膚症状を良くすることが出来ます。
副作用について
紫外線治療
紫外線治療は日焼けを人工的に行うことなので、たくさん当てすぎるとやけどしますし、回数を重ねると皮膚の色がやや濃くなります。白人では紫外線による皮膚がんが問題になりますが、日本人では回数に注意すれば少ないといわれています。紫外線治療は内臓への副作用はないのが特徴です。
ビタミンA誘導体
催奇形性(使用中に妊娠すると奇形児が生まれる可能性がある)がある薬剤なので、若い方には使用できない薬です。唇が荒れたり、爪の周囲がささくれ立ったりする以外に、定期的な血液検査が必要です。
シクロスポリン
シクロスポリンは血圧が上がり、腎臓の障害が出ることが最も問題となります。定期的な尿検査と血液検査が必要で、家でも血圧を測定することをお勧めしています。血圧が上がる場合は、降圧薬も必要になります。最近は、このシクロスポリンの副作用を少なくするために、これまでの1日2回、食事後に服用する方法から、より少ない量にして朝の食事前に1回だけ飲んで頂く方法に変更しています。
乾癬・関節症性乾癬の種類
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
特殊な乾癬で、細かい膿疱(うみ)が赤いブツブツの上に出てきて、発熱も伴うようになります。この乾癬には、ビタミンA誘導体がよく効きます。発熱がみられる場合は、入院して頂きます。尋常性乾癬が、風邪、妊娠、ステロイド内服薬などで悪化して膿疱が出現することがあります。
関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)
関節の痛みを伴う乾癬です。関節リウマチと区別することが難しい場合があります。当院では血液検査、レントゲン検査と骨シンチグラフィー(近くの病院で検査して頂きます)で関節の評価を行い、関節に炎症があり、将来変形する可能性が考えられるときは、飲み薬(リウマトレックスという関節リウマチに使う免疫抑制薬と少ない量のステロイド薬)を使用します。痛みの程度が軽い場合は痛み止めや湿布薬で様子をみることもあります。
乾癬は、一度良くなっても、しばらくすると他の場所に症状が出てくることを繰り返す経過の長い病気です。当院では、上記に示すいくつかの治療法を組み合わせて、最大限の効果で最も副作用の少ない方法を、患者さん1人1人の症状や都合に合わせて、一緒に考えていく治療方針で乾癬の治療にあたっています。
Q&A
Q:乾癬の発疹はどんなところにできますか?
A:乾癬の発疹ができやすいのは、日光のあたりにくい部位や刺激を受けやすい部位です。具体的には頭皮や髪の生え際、肘、膝などによくできます。
Q:乾癬は人にうつるのではと言われ、悩んでいます。
A:皮膚病はうつるものばかりだと思っている人が多いのですが、乾癬は非伝染性の疾患で、決してうつるものではありません。プールや温泉に一緒に入っても決して他人にうつる心配はありませんので、周囲の人にも理解してもらうよう努めましょう。
Q:乾癬の発症の誘因になるものはありますか?
A:全ての患者さんで誘因がはっきりするわけではありませんが、感染症(特にのどの感染症)、薬剤(鎮痛・解熱剤、抗生剤など)、紫外線、妊娠などが発症の誘因となる患者さんがいます。副腎皮質ホルモンを内服している患者さんでは、急に内服を中止した後に発症することがあります。
Q:フケ症ですが、乾癬ではないでしょうか?
A:頭部は好発部位のひとつであり、多くの場合、初発部位(初めて発疹があらわれる部位)でもあります。脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)と診断されていた人が、あとから乾癬とわかることも少なくありません。もし肘や膝に小さな発疹があれば、頭のフケも乾癬の症状である可能性が高いといえます。