白斑
白斑はこんな病気です
白斑は皮膚の色が白くなる病気です。一部の皮膚が白くなる分節型と全身に広がる全身型があります。一般に、全身型はゆっくりと拡大することが多く、分節型よりも治りにくいと言われています。10~30才頃から始まることが多いですが、小児や高齢者にできることもあります。遺伝病ではありませんが、患者さんの10%程は家族の他の人にも白斑がみられます。原因はまだわかっていません。恐らくいろいろな原因によりメラニン色素を作る細胞が壊されてなくなるために皮膚が白くなると考えられています。
白斑の治療法
紫外線治療(ナローバンドUVB、エキシマライト)
ナローバンドUVBやエキシマライトという308〜311nmの紫外線に週1〜2回、30秒程度あたるが最も効果的な治療方法です。治療の難しい病気なので、紫外線を当ててもすぐに皮膚の色が出てくるわけではありませんが、まず10〜20回程度施行してみて、その効果をみるのが良いと考えています。顔、体、上肢、下肢に比べの手足の白斑は効果が少ないことが知られています(Arch Dermatol 140; 677, 2004)。 この治療法は、数年前から普及し始めた新しい方法ですので、紫外線治療を以前行ったが効果がなかったという方でも、照射する機械を変更すると効果が現れる場合もあるので、一度相談しに来て下さい。
ぬり薬
紫外線治療に加えて、家ではステロイド軟膏、プロトピック軟膏、ビタミンD3軟膏などを塗って頂きます。以前はステロイド軟膏のみを使用していましたが、最近はプロトピック軟膏やビタミンD3軟膏の有効性が報告されています(この2剤は白斑には保険適応外です)。
表皮移植術
a)吸引水疱術:色が抜けていない皮膚に注射器で陰圧をかけて吸引することにより水ぶくれを作り、水ぶくれで浮いた皮膚を白い部分の皮膚にうつします。水ぶくれで浮いた皮膚には色素を作る細胞(メラノサト)が含まれているので、白い皮膚の一部に色がつくことになります。うまくいけば効果的な方法ですが、色がでない場合やまた色がぬける場合もあります。治療には3時間程度かかります。
b)1mmミニグラフト法:色素が残っている皮膚から1mmの大きさの皮膚を取ってきて、白い皮膚に植えかえします。1mmの小さい色素ですが、その後紫外線治療を行うことで周囲に色素が拡大していきます。1mmの大きさなので、傷跡が目立ちにくくなるのが特徴です。
パーフェクトカバー
白斑を隠すために資生堂が開発した新しいファンデーションです。これまでのファンデーションやコンシーラーでは厚塗りになったり不自然な仕上がりになることがありましたが、このパーフェクトカバーはメラニンに似た色を加えることで自然な仕上がりになります。男性や子供でも使用することが出来ます。パーフェクトカバーは講習を受けた医療機関などでのみ販売されています。当院では診察後、講習を受けた女性医師あるいは看護婦がつけ方の指導をさせていただきます。
白斑は治りにくい病気ですが、これまでの治療法に比べ、最近行われているナローバンドUVBやエキシマライトは良いようです。まだどこの病院でもある機械ではありませんが、当院では導入済ですので一度試してみて下さい。
日常のケア
日焼けを避ける
日焼けをすると白斑が目立つだけでなく、色素を落とそうとする力が働くので、色が抜けることがあります。日焼け止めをつけるなどして日焼けをしないようにして下さい。
服による圧迫を避ける
皮膚を圧迫すると色が抜ける場合があります。圧迫しないようなゆったりとした服を着るようにして下さい。
傷を放置しない
傷のあとに色が抜けることがあります。傷をしたときは受診して正しい治療を受けるようにして下さい。
白斑Q&A
Q:以前紫外線治療を受けたことがありますが、その時は色が出ませんでした。他に方法はありますか?
A:以前はPUVA(プバ)という方法で紫外線をあてていました。最近のナローバンドUVBやエキシマライトの方が効果が出るので、やっていなければこれを試してみて下さい。
Q:ナローバンドUVBやエキシマライトを行いましたが、色が出ませんでした。他に方法はありますか?
A:白斑の拡大がないのなら、表皮移植術を行います。ご相談下さい。
Q:子供ですが、紫外線治療はできますか?
A:ぬり薬を使った治療をまず行いますが、ぬり薬では色素の再生が乏しいときは相談の上、期間を決めて紫外線治療を行っています。文献上も、4〜16才の子供に週2回ナローバンドUVB治療を最大1年間行い、その期間には特に副作用が生じなかったというアメリカからの報告があります(J
Am Acad Dermatol 42:245,2000)